私たち、ヒューマンマネージコンサルティング株式会社では、最近注目される「ゲーミフィケーション」をマーケティングや社内施策へ導入するためのコンサルティングと研修会を実施いたしております。 ◯ゲーミフィケーションとは この大変に言い難い「ゲーミフィケーション」、長くて言い難いため「ゲーミフィ」と略して呼ばれることも多いのですが、これがそもそもどのような概念なのかを整理すると、『金銭へ向けての欲求・動機を除く「非金銭的な欲求・動機」を満たすための、競争やルールなどの仕組みづくりをすること。若しくは、ある仕組みにその仕組みを取り入れること』(各諸説を参考に当方で定義)となります。 なお、wikipediaでは、その冒頭でゲーミフィケーションの概略と定義を次のように定義しています。 ゲーミフィケーション(Gamification)とは、課題の解決や顧客ロイヤリティの向上に、ゲームデザインの技術やメカニズムを利用する活動全般。この言葉は「日常生活の様々な要素をゲームの形にする」という「ゲーム化(Gamefy)」から派生し、2010年から使われはじめた。(wikupedia“ゲーミフィケーション”引用 この引用部分はコピーレフトにより掲載しています。wikipedia 2014.03.12 16:50) ゲームデザイン手法や仕組みを用いて問題の解決やユーザー契約などを獲得すること。例えば、既存のシステムやサービスへの、ポイント性、順位、可視化、バッジ、ミッション、レベルシステムの採用など。さらにゲームの要素を盛り込むことによって楽しみながら意図せずそれらと関わっていってもらうことが目的で行われる場合もある。(wikupedia“ゲーミフィケーション”引用 この引用部分はコピーレフトにより掲載しています。wikipedia 2014.03.12 16:50) ポイント性、順位、可視化、バッジ、ミッション、レベルシステムなどの採用は、既に過去から存在するものであり、例えば、「ポイント性」については、買い物によるポイント、「バッチ」は表彰制度や営業成績などでの「位付け」が該当しますが、今、敢えて、この「ゲーミフィケーション」が注目され、活用しようとする取り組みが増えたのは、IT・Webの発達で分野、対象範囲において広く導入しやすくなったこと、技術的にも高いレベルで詳細にこの実施ができるようになったことが挙げられます。 ◯ゲーミフィケーションの効果 ゲーミフィケーションの効果は、ゲームをしている時のような夢中感、快感による動機付けです。その動機付けの対象がマーケティングであれば購入(使用)・再購入(使用)を促すお客様、ユーザーであり、社内施策であれば、仕事を通じた成果を目指す社員ということになります。 ◯ゲーミフィケーションの基本的な構造 ゲーミフィケーションの基本的な構造は、非金銭的なフィードバック(人からの承認・称賛など)や非金銭的な報酬(ゴールの達成、勝利など)を用意しておき、それらを得たいとする欲求を刺激して動機付けて、行動の喚起・継続、再行動を促すというものです。心理学や脳に関する諸説では(当方はその分野ではないので専門性はあまりありませんが、諸説を参考にすると)、ドーパミンなどの神経伝達物質、所謂、脳内麻薬が生じ、快を認識し、継続行動・再行動を喚起するという認知・心理の構造を活用した仕組みと言えます。 ◯ゲーミフィケーションにおける「刺激の対象とする欲求」とは 端的に言ってしまえば、欲求5段階説(心理学者・アブラハム・マズロー氏の自己実現理論に言う、所謂、マズローの欲求5段階説)の3段階目「所属と愛の欲求」以上の欲求を刺激することです。 ご存知の方も多いかもしれませんが、マズローによると、人間は、5.「自己実現の欲求(Self-actualization)」、4.「承認(尊重)の欲求(Esteem)」、3.「所属と愛の欲求(Social needs、Love and belonging)」、2.「安全の欲求(Safety needs)」、1.「生理的欲求(Physiological needs)」の基本的な欲求を持ち、1.→2.→3.→4.→5.のように低次の欲求が満たされること高次の欲求を満たそうとします。「2.安全の欲求」と「1.生理的欲求」は金銭的に満たす部分ですが、「5.自己実現の欲求」、「4.承認(尊重)の欲求」、「3.所属と愛の欲求」は、非金銭的(人との関係や精神、認識)によって満たされるため、これらが非金銭的報酬を主な対象とするゲーミフィケーションの刺激の対象となる欲求となります。 また、心理学者 スティーブン・リース氏の「本当に欲しいものを知りなさい―究極の自分探しができる16の欲求プロフィール」に示す「16の基本的欲求」もゲーミフィケーションを考える上で参考になります。その16の基本的欲求とは、1.「他人を支配したいという欲求:力」2.、「人に頼らず自力でやりたいという欲求:独立」、3.「知識を得たいという欲求:好奇心」、4.「人に認められたいという欲求:承認」、5.「ものごとをきちんとしたいという欲求:秩序」、6.「ものを集めたいという欲求:貯蔵」、7.「人としての誇りを求める欲求:誇り」、8.「社会正義を追求したいという欲求:理想」、9.「人と触れあいたいという欲求:交流」、10.「自分の子供を育てたいという欲求:家族」、11.「名声を得たいという欲求:名声」、12.「競争したい、仕返ししたいという欲求:競争」、13.「美しいものを求める欲求:ロマンス」、14.「ものを食べたいという欲求:食」、15.「体を動かしたいという欲求:運動」、16「心穏やかでいたいという欲求:安心」のことです。 他の心理学に関する諸説も含め、その共通項と言える「欲求」に焦点を当て(つまり、帰納法による考え方と言うのでしょうか)、また技術的に対応可能な領域も見据えて実現可能かも考えながら、ゲーミフィケーションの設計をして行きます。 なお、「非金銭的報酬で行動・モチベーションが喚起できることに金銭的報酬で対応すると上手く行かない」、「非金銭的報酬と金銭的報酬の動機付けは両立できない」、「非金銭的報酬の方が、金銭的報酬よりも効果が高い」といった説もあるようですが、当社の経験からするとケースバイケースと言って良いかもしれません。例えば、人事制度の中には非金銭的欲求と金銭的欲求の両方を満たす施策が必要ですし、営業成績への報酬が言葉や称賛、位の認識だけでは、後々、モチベーションが徐々に低下するので金銭的報酬と連動しなくてはなりません。逆に、上司と部下の面談の場面では、金銭的報酬の話ではなく、承認されていることを感じたり、どのように自分創りをして行くかを上司と話し合いをしながら考えることでモチベーションが上がって行くはずで、やはりケースバイケースと言うことになります。 では、ゲーミフィケーションに含まれるべき内容(ゲームのコンポーネント)は何かの話に続けて行きたいと思います。それは続編、「【コラム】ゲーミフィケーションをマーケティングや社内施策に導入する(2)」でご紹介いたします。※2014年4月に掲載予定