はじめに(毎回掲載) 私たち、ヒューマンマネージコンサルティング株式会社では、コンサルティング事業、研修事業に続き、新たな事業の立ち上げを検討しています。私たちが考える新規事業とは、“これまでにない”、“他社さんにはない”=つまり、『ありきたりではない優位化・差別化された事業』でありたいと考えており、また、それを具体的に実行するためのマーケティングも同様に優位化・差別化されたものでありたい考えています(新規事業・マーケティングを考えるのでれば当然ですが)。そして私たちは、今この瞬間も将来も『社会のニーズに応え続けるビジネス』を継続して立ち上げ、またブラッシュアップして行きたいと考えています。 このブログでは、私たち、ヒューマンマネージコンサルティング株式会社が立案中の自社の新規事業について、その検討経緯や結果をストーリー仕立てで掲載しています。どの新規事業にも言えることですが、自分(達)の力でできることは限られており、実現のために多くの方の協力が必要になります。このストーリーをご覧いただき、この企画にご賛同いただけるのであれば、皆様のさまざまなノウハウや強みを活かされたご協力・ご協賛をいただければ幸いです。 <1>環境分析編 「この時代、これからの時代」 新規事業の検討で、最初に考えること 「マクロ環境分析」×「コアコンピタンス分析」=「社会ニーズへのソリューション(可能性のある対応策) 外部環境分析と内部環境分析は、私たちのコンサルティングや研修でもよくお伝えする、新規事業やマーケティングを検討する時の王道の進め方ですが、いきなりSWOT分析となると詳細過ぎて、また部分に目が奪われがちになるので、先ず、最初は、外部環境分析の中でも「マクロ環境分析」を、内部環境分析の中でも「コア・コンピタンス分析」を最初の取り掛かりとして行い、その結果から『大枠・概略で社会のニーズがどのように推移しているのか、そのニーズに対して自分たちはどのようなソリューション(可能性のある対応策)を提供できるのか』を導くようにします。 なお、マクロ環境分析では、その代表的なフレームである「PEST」を、コア・コンピタンス分析では、その代表的な視点である「経営の主軸となって来た経営資源、主要事業・商品、顧客グループ、チャネル」から考えると整理がしやすいため、今回も各種のフレームと視点を適宜活用したいと思います。 ●マクロ環境分析 「当社には、どのようなマクロ環境が存在するか?」などと考えても、どう考えて良いのか迷走ばかりかもしれません。しかし、それでもここでは、マクロ環境の中からビジネスチャンス(SWOT分析で言う「機会」)を発見するために、PESTのフレームに沿って大凡の傾向を洗い出すことからはじめてみたいと思います。当社の新規事業の検討でもそこからはじめます。ブレーンストーミングすると以下、ざっと次のようになりました。 政治・法律的環境要因(P) TPP(グローバル化の加速)、消費税増税(駆け込み需要と反動)、産業構造ビジョンによる多肢な基幹産業の育成(具体的な育成分野:インフラ関連・システム輸出、文化産業、環境・エネルギー課題解決産業、医療・介護・健康・子育てサービス、ロボット、宇宙等の先端分野)、高速交通網の推進(都市から及び地方間の観光の促進)、ビザ緩和(外国人流入の増加)、高年齢者雇用安定の推進、両立支援の推進(女性の職域拡大、女性の管理職の増加、会社・本人とも女性の仕事、キャリア創りへの期待増)、省エネ法(エネルギーの合理的利用の推進)、産業協力強化法(景気の中小・零細企業への還元)、中小企業・地方雇用の助成金・補助金の充実・・・ 経済的環境要因(E) 大企業系列の崩壊・銀行取引・資金調達構造の変化(「平成の財閥解体」:当社命名)、デフレ基調からの脱却(価格帯の幅、価格ニーズの分散化)、日本の円安基調、新興国経済の伸び、先進国経済の横這い、中国バブルへの懸念、グローバル化(海外企業・市場との取引拡大、中小企業の大企業を介さない海外企業・市場への直接取引の拡大)、産業空洞化の継続、日本人労働者数の絶対数の減少(女性雇用、外国人雇用への依存増)・・・ 社会的環境要因(S) 少子高齢化、社会一人一人の情報発信力の増大、環境・エコ志向の広がり(省エネ・省資源志向、環境CSRの意識強化)、 日本型と欧米型の雇用慣行の併存( 年功序列から成果・実力主義へ、終身雇用も第2新卒・中途採用も)、技術継承問題、益々のモノ志向からコト志向、益々の供給者論理から消費者論理へ、安心・安全への意識強化、ブランド名より本物志向、コンプライアンス重視(質の重視、クレーム対応・リスクマネジメントの重要性アップ)・・・ 技術的環境要因(T) インターネットによる利便性範囲の拡大、益々高速・大容量・安価になる通信、クラウド化(情報のアクセスと共有のしやすさ)、口コミ媒体の活用増加(消費者の情報増、判断力のアップ)、SNSなどによる顧客と企業の情報格差の縮小、インターネットユーザーとそうでない人の情報格差の拡大、IT化による製造、販売、流通の変化、イノベーションサイクルの益々の短期化、益々のダウンサイジングと低コスト化、ユビキタス化、ビックデータの活用(社会・産業インフラとの連携、CRMへの活用など)、電子書籍の広がり・・・ ●コアコンピタンス分析 新規事業の検討の最初の段階で、マクロ環境について拡散したら、今度は内部環境分析です。ここでも内部環境分析となると、あまりにも詳細になり過ぎるので、自社の強み、中でも最大の強みを整理するために「コアコンピタンス分析」をします。当社の新規事業の検討でも「マクロ環境分析」に続いて、「コアコンピタンス分析」をすることにしました。 コアコンピタンスとは、core+competence、つまり、優位化、差別化の源泉となる「中核的」な企業の力=最大の強みのことで、これまでの自社の主軸となって来た経営資源、主要事業・商品、顧客グループ、チャネルについて検討します。因みに、ゲイリー・ハメル氏とC.K.プラハラード氏の著書「コアコンピタンス経営~未来への競争戦略」では、現在と将来の視点(5年~10年後)で、次の質問について考えることを述べています。
  1. 「現在、あなたの会社が対象としている顧客は誰だろうか?」「将来、あなたの会社が対象としている顧客は誰だろうか?」
  2. 「現在、あなたの会社はどのような販売経路を使っているだろうか?」「現在、あなたの会社はどのような販売経路を使うだろうか?」
  3. 「現在、あなたの会社の競争相手は誰だろうか?」「将来、あなたの会社の競争相手は誰だろうか?」
  4. 「現在、あなたの会社の競争優位の源は何だろうか?」「将来、あなたの会社の競争優位の源は何だろうか?」
  5. 「現在、あなたの会社の利益は、どこから来ているだろうか?」「将来、あなたの会社の利益は、どこから来るだろうか?」
  6. 「現在、あなたの会社の独自性は、どのような能力から来ているだろうか?」「将来、あなたの会社の独自性は、どのような能力から来るだろうか?」
  7. 「現在、あなたの会社は、どのような商品ジャンルに参入しているだろうか?」「将来、あなたの会社は、どのような商品ジャンルに参入するだろうか?」
(「コアコンピタンス経営~未来への競争戦略」ゲイリー・ハメル氏&C.K.プラハラード氏著 P31-32)
また、「もし経営幹部が未来への質問に具体的に答えることができなかったり、あまり現在についての答えと変わらないようであれば、会社が現在とナンバーワンであり続けるのが難しい(上記著作より引用)」としています。当社は今現在は少なくともナンバーワンの企業ではありませんが、確かに将来的にある程度の活躍をするためには、この問いに対する答えができていなくてはなりません。そして何よりも、当社のコンサルティングや研修で「コアコンピタンス」の重要性をご説明する以上は・・・。 さて、当社のそのコアコンピタンスは何かについてですが、大きくはビジョンメイク、コンピテンシー抽出等々の組織・人事系、事業戦略やマーケティングなどの戦略系、業務改善やシステムの上流設計などの業務系のコンサルティング、また研修ではロジカルシンキング、マーケティング、クリティカルシンキング、クリエイティブシンキング、問題解決などの思考系・コンセプチュアル系と呼ばれる領域、そしてリーダーシップ、ファシリテーション、コーチングといった対人系・ヒューマンスキル系と呼ばれる領域で取り組んできました。 そこから導かれるコアコンピタンスを経営資源、主要事業・商品、顧客グループ、チャネルの視点とゲイリー・ハメル氏とC.K.プラハラード氏の質問を基に洗い出し、当社のコアコンピタンスを端的にまとめると、次のようになりました。
  • 主なお客様の層:『企業(BtoB)
    • 勿論、個人のお客様にeラーニングをご購入いただくなど個人様とのお取引もありますが、多くが、企業様からのご発注でした。
    • 業種や規模は、相当に幅広く、とても柔軟にご対象様の特性や状況に応じて対応して来ました(逆に言えば、ターゲットを絞らずに戦略的な一貫性がなかったとも取れますが、提供しているサービスの特性からして、細かくセグメントすること、ターゲットを絞ることに、あまり大きな意味を感じていなかったのも確かです)。
  • 提供してきた主なサービス①:『知識と情報の流通(移転)。またその促進の支援
  • 提供してきた主なサービス②:『知識と情報の集約と融合、そこからの新たな知識と情報の創出。またその促進の支援
ここから考えること 「マクロ環境分析」×「コアコンピタンス分析」=「社会ニーズへのソリューション(可能性のある対応策) 「マクロ環境分析」と「コアコンピタンス分析」の次は、その組み合わせから「社会ニーズへのソリューション(可能性のある対応策)」の仮説を洗い出す段階となります。この継続版は、次号「【ザ・ストーリー】コンサルティング・研修会社の新規事業とマーケティング<2>ニーズの抽出」でご説明させていただきます。 ヒューマンマネージコンサルティング株式会社 眞下